椅子は、私たちにとって最も身近な道具の一つです。その造形は、座るための合理的な機能を追求したかたちでありながらも、彫刻作品のような自律した美しさを宿しています。とりわけ前世紀の優れた建築家やデザイナーが手がけた椅子は、時代を超える名作として浸透し、近年ますます関心が高まっています。
本展で紹介するポール・ケアホルム(1929~1980)は、20世紀デンマークを代表する家具デザイナーです。ミッドセンチュリーの北欧家具といえば、温もりのある木調のデザインを思い浮かべるかもしれません。しかしケアホルムの特徴は、当時では珍しく、石や金属などの硬質な素材を取り合わせた厳格なデザインにあります。それでいて各々の家具は決して冷たい印象は与えず、置かれる空間に心地よい緊張感をもたらします。古びることのない、ミニマルで清潔な造形に凝縮されたケアホルムの仕事は日本の建築ともよく響き合い、国内の愛好家の間でも根強く支持され続けています。
本展は、長年にわたり椅子研究と収集を続けてきた織田憲嗣氏(東海大学名誉教授)のコレクションを中心に、ケアホルムの主要作品を網羅した、日本の美術館では初めての展覧会となります。織田コレクションを有する北海道東川町の協力のもと、家具約50点と関連資料を紹介するとともに、ケアホルムのデザイン哲学と洗練された家具の造形美を、気鋭の建築家・田根剛氏(ATTA)の会場構成によりお楽しみいただきます。
会期
2024年6月29日(土)〜 9月16日(月/祝)
会場
パナソニック汐留美術館
港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4F
開館時間
10:00~18:00(ご入館は17:30まで)
※7月5日、8月2日、9月6日、13日、14日は夜間開館 20:00まで開館(ご入館は19:30まで)
休館日
水曜日(9月11日は開館)、8月13日(火)〜16日(金)
入館料
当日一般:1,200円
主催
パナソニック汐留美術館、東京新聞
後援
デンマーク王国大使館、港区教育委員会
特別協力
北海道東川町、織田コレクション協力会、旭川家具工業協同組合
助成
公益財団法人ユニオン造形文化財団
学術協力
織田憲嗣(東海大学名誉教授)
会場構成
田根剛(ATTA)
協力
フリッツ・ハンセン、パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社