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馬の形の小物入れ
愛の告白に使われたものの成就せず、人手に渡り、そして織田コレクションへ。これも何かの縁。(撮影:織田 憲嗣)
東川町に地域おこし協力隊としてやって来た方が、かつてフィンランドに行った際に地元の人から譲られたものです。その方が東川からアフリカに移住することになり、小物をバザーで売るから見に来ませんかと誘われて伺ったのです。そのときこの品物について、来歴を話してくれました。フィンランドで知り合った男性が持っていたもので、その人は好きな女性に愛を告白するためこの小物入れを自作してプレゼントを試みたのですが、ふられてしまい、「もういらないからもらって」と言われたのだそうです。ちょっと悲しい由来ですが、私がバザーでこれを受け取った理由は、フィンランドらしさが見事に表現されていたからです。
フィンランドは地理的に、長年ノルマン系とスラブ系双方の影響を受けてきました。前者のものづくりは素材の持ち味を生かして形をシンプルにするという特徴があり、後者は中世ビザンチンの装飾文化を色濃く反映しています。フィンランドの人たちはこの両方の感性を併せ持っており、そうしたふたつの感性がさまざまな場面で非常にうまく昇華されています。この小物入れも、長い歴史の中で民族のDNAに組み込まれた感性が、自然に作品に結実したものでしょう。シンプルな造形で量産型のプロダクトデザインに向きますし、やや華美な装飾はアート作品的な印象を与えます。
私はこれを書斎のデスクの背面にある本棚に飾っています。本を並べると手前に少し隙間ができる、そこが定位置。限られた空間で美しいものを楽しむ私の努力、本当に涙ぐましいでしょう?(笑)
(2025/12/19・談)
馬の背が蓋になっており跳ね上がる構造。細かく彫られた模様が楽しい。(撮影:織田 憲嗣)
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