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「うつむき加減なところがかわいらしいでしょう?」寝室の書棚に、タピオ・ヴィルカラの鳥やガラスボトルとともに飾っているそう。(撮影:織田 憲嗣)
“フィンランドデザインの良心”と呼ばれ親しまれた国民的デザイナー、カイ・フランクの「Woodcock」です。体長112㎜の小さな鳥のアートピース。1954年にデザインされ、’68年までイッタラ社が製造しました。これまで展示会などに出したことはないので、初披露ですね。やや抽象的で鳥の種類も定かではありませんが、生きものへのあたたかい眼差しが感じられます。ガラスの鳥といえば「イッタラバード」のオイバ・トイッカが有名ですが、実は最初にガラスで鳥をデザインしたのはカイ・フランクなんです。ガラス工場のヌータヤルヴィでともにデザイナーとして働いており、いわば師匠と弟子の関係です。師匠の発想を引き継いで、世界に広めたのがオイバ・トイッカというわけです。
カイ・フランクは、イッタラのカルティオ(グラス)やティーマ(食器)がフィンランドのすべての家庭に行き渡るほど愛用され、日本にもファンが多いお馴染みのデザイナー。ひとりの芸術家であると同時に、大衆から愛されました。このように芸術性と産業性の二面性を持つことが、フィンランドデザインに共通する特徴のひとつなのです。
4、5年前でしょうか、東川町の職員と東京に出張した際に立ち寄ったヴィンテージショップ「エレファント」で、この鳥を見つけました。存在は知っていても、数が少ないためかこれまで出会えずにきたものです。「(高額だったので)分割で」と購入を申し出たら、以前からお付き合いがあり私の活動をよく知るオーナーが「プレゼントします」とおっしゃった。ひとつのことをやり続けていると、誰かがどこかで見てくれているんですね。それが信頼につながり、こうして応援してくれる人がふえて、織田コレクションは成長し続けているのです。
(2026/04/28・談)
【取材を終えて】
取材中、「ミニマリスト的思考の人は、いいものを少しだけ持ち大切に使う」という話題になったときの会話です。「僕にはそういう生き方はできないなぁ」「はい、知ってます」「好きなものに囲まれて、愛着を持ってそれを使い、豊かな気持ちで人生を終えたい。その後はすべて東川町に寄贈される」。織田コレクションは、そのすべてを散逸させずに保存し、さまざまな形で公開して世の中に役立てるという、この仕組みをつくり上げたことこそが、コレクションそのものと同じくらいにすごいことだと思います。どの自治体にでもできることじゃない。それもこれもみんな、先生に重大な任務を与えた神様が、要所要所で手を貸し導いた結果としか思えません。織田邸で、何人もの町職員が家具を仕分けし、運び出し、大量の不用品を処分し、箒で床を掃く姿を見て、この大いなる財産の受け皿となった東川町が、これからますます豊かなまちに発展していくことを確信しました。
──── 聞き手・コピーライター 西川 佳乃
運び出すものと残すものを分類する番号札。どちらも東川町でしっかり管理される。
青空の下、満開の白木蓮が作業を見守っていました。
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